高尾ツリーダム

高尾ツリーダムとは、裏高尾にあるわたしたちが作ったツリーハウスの名前です。Tree と Freedom を掛け合わせて Treedom!

高尾山圏央道トンネル問題を広く伝えるためにどんな方法があるだろう…と頭を悩ませていた頃、高尾山を守る活動を全面的に支援していただいていたアウトドアショップのパタゴニアの篠健二さんが、「知り合いにツリーハウスを作っている人がいるのだけれどツリーハウスなんてどう?」と言った言葉にピンときました。「ツリーハウス♪それだぁぁ!」とその場で即決。トンネル問題を言葉で伝えるだけでなく、高尾山そのものに興味をもってもらい、気持ちよいすてきな場所と感じてこそ守りたい気持ちが湧くのではないか、そんな場所にツリーハウスがあれば気持ちよさ倍増!これは作るしかない!しかも造るのも楽しそう♪

ツリーハウスについて何の知識もない私たちに、ツリーハウスビルダーの小林崇さんとそのお仲間が、木の選定から完成まで手取り足取り教えてくれました。ミュージシャンのミスターチルドレンの桜井和寿さんや小林武史さんがAPバンクを通して費用を無利子で貸し付けてくれました。毎回、ワークショップ形式で、完成まで延べ500人の方が参加し、宙吊りになってビスを打ってくれたり、使ったことのないチェーンソーにチャレンジしたり。本当にたくさんの人々の協力と山への想いが形となったのが「高尾ツリーダム」です。

選んだ木は、裏高尾にある樹齢100年ぐらいの大きくて立派なモミの木。
ツリーハウスを見ると「エコですね~」などと言われることがありますが、全然エコではありません。木には大変な負担をかけることになるのです。
一番悩んだのは、木にボルトを通すために傷つけなければならなかった時です。でも、実は木は点の攻撃には強く、面の攻撃には弱いのです。木は、中の年輪はすでに生きておらず、皮と表面の隙間で水を吸い上げて生きています。木の形成層は、てっぺんと幹の表面。点で傷つくとその周辺の皮を厚くし、くるむようにして自分で傷を癒してくれます。むしろ木の周りを囲んでしまう事や縛ってしまう方が木はつらい。

この作業で私たちはとても大事なことを学びました。
モミの木にボルトをつける時、どこまでやれば木はつらいのか、どこまでなら大丈夫なのか、私たちも楽しめてモミの木も生きてゆけるためにはどこまで手を入れるべきなのか真剣に考えました。
おそらく、昔の人々は自然に手を加える時、どこまでなら大丈夫で、これ以上だと取り返しがつかなくなる、自然が死んでしまうということをちゃんと知っていたのだと思います。
人間は、自然から様々な物を頂かないと生きていけません。自然に対して無垢で無害な人は存在しません。そうであるならば、自然も人も共生できるラインを意識できることが大切です。取り返しのつかない絶滅や再生不可能な状態にしないために、自分が関わる自然についてちゃんと知らなければならないということに私たちは気づきました。高尾山圏央道トンネル工事は、人間がどこまでならば山にしてもよい行為なのかという基準を失ってしまっているが故に起きていることだという事も理解しました。

面白いもので、ツリーハウスを作ろうとするまでは、もともとそこにモミの木はいたのに、誰も目を向けませんでしたが、この木にツリーハウスを造るとなったとたん、そのモミの木はみんなにとって大事な木になりました。
今も、今年は新芽がちゃんと出ているか?幹が太ってきて床にあたっていないか?種をちゃんとつけているか? と気にし続けています。

完成から10年…

高尾ツリーダムの周りにどれだけの人が集ったのか数えきれません。高尾ツリーダムで開催したイベントは、100回を越えます。ライブイベント、上映会、お茶会、オーガニックパーティ、トークイベント、ダンスイベント、詩の朗読会、マッサージ会などその内容も多岐にわたります。
みんなが笑い声をあげ、気持ちよさそうに風を受けて目を細めている…そして、真ん中にはいつも高尾ツリーダム。
ここを訪れて、高尾山圏央道トンネル問題を知った人も大勢います。高尾ツリーダムがきっかけで虔十の会のメンバーとして活動している人もいます。

さて、高尾ツリーダムは、第二ステージに向かうことになりました。
ツリーハウスがあるカフェ、高尾ツリーダムカフェとして、高尾山の豊かな自然を伝える役割をさらにパワーアップして担い続けます。

 

高尾ツリーダムの第二ステージ「高尾ツリーダムカフェ」について
https://takaokenju.com/activity/treedomcafe